発達障害について
    ジョイビジョン愛知 認定眼鏡士井上敬康
 



         ここで軽度発達障害について簡単にご説明します


 『日本LD学会LD・ADHD等関連用語集』(日本LD学会編)によれば、
 発達障害とは「中枢神経系の高次機能の障害が発達期に生じているものを言い、
 基本的には、その障害は非進行性であり、合併症がない限り、障害自体が悪化していくことはないと言われています。

 発達障害は、一般に大きく4種類に分類される。
 それらは、@知能発達の障害を中心とする知的発達障害(精神遅滞)、
        A自閉症を中心とする広汎性発達障害、
        B発達のある側面だけが特に障害されている発達の部分的障害(特異的発達障害)、
        C落ち着きのない行動の問題を中心とする注意欠陥/多動性障害です。

 医学領域では、注意欠陥/多動性障害は発達障害ではなく行動障害に分類されていますが、
 発達障害の枠組みでとらえる立場のほうが多いようです。

 発達障害の表現型には、
   @遅れ(delay)、
   A偏り(deviation)、
   B歪み(distortion)の3つがあり、
     「遅れ」は、同じ年齢の子どもの大多数(普通は90%)ができることができないというもの。
     「偏り」は、通常の子どもにも見られる行動ではありますが、その程度が通常範囲を超えているというものです。
     「歪み」は、通常の子どもには見られない行動が反復して見られるというものです。
     遅れの代表は知的発達障害、偏りの代表は注意欠陥/多動性障害、歪みの代表は自閉症です。

 遅れがなく偏りや歪みが中心となっている発達障害は、「軽度発達障害」と呼ばれることがありますが、
 発達障害であることに気がつかれにくく、そのほとんどが通常学級にいて、不適応を示すことが少なくないことから、
 早期に見つけ適切な配慮がされることが望ましいと考えられます。
 軽度発達障害に含まれるものとしては、
 高機能自閉症、
 アスペルガー症候群、
 学習障害、
 発達性言語障害、
 発達性協調運動障害、
 注意欠陥・多動性障害
 などがあります。

 2002年に行われた文部科学省による「通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする
 児童生徒に関する全国実態調査」ではLD様の学習面で著しい困難を示すもの4.5%、
 ADHDもしくは高機能自閉症様の行動面で著しい困難を示すもの2.9%、
 重複を考慮すると全体では6.3%という数値が報告されました。

  

      40人クラスであれば1.2人存在することになります。

 以前は「軽度発達障害」という言い方をしていた時期もありましたが、この「軽度」という言葉についてですが、
 これは、知的発達に遅れがないという意味であり、それぞれの子供の困難さは軽度ではなく、
 逆に知的発達に遅れがないために気づかれずに「怠けている」「本人の努力が足りない」といった
 誤ったとらえ方をされてしまっている場合も多いです。
 また、それぞれが示す状態が同じ診断名であっても大きく異なることから、支援が難しいという問題もあります。

  平成16年12月に「発達障害者支援法」が成立し、
  平成17年4月から同法が施行され教育現場での支援に期待が大きくなっています。



 今回は対象児を
 高機能自閉症、アスペルガー症候群、その他の自閉症、
 ADHD、LD(学習障害)、精神遅滞として分けている。
 以下にそれぞれの特徴を簡単に紹介します。



 高機能自閉症およびアスペルガー症候群

 「社会性の障害」
  1)社会的関係の困難、
  2)ことばの発達の遅れ、
  3)特定のものへのこだわり、という自閉症と同じ幼児期兆候を持つ。

   ・知的には標準またはそれ以上(IQ70以上をさすことが多い) 
   ・言葉の発達が遅れなかった場合、アスペルガー症候群と呼ぶ。

  状態例:
   ・含みのある言葉、嫌味や冗談を言われてもわからず、言葉通りに受けてとめてしまう。
   ・その場で言ってはいけないことを配慮せずに言ってしまう。
   ・「〜博士」と言われるほど、ある特定の物に対して大変詳しいが、興味のないことには見向きもしない。
   ・アスペルガー症候群では、口は達者でも相手との会話が成立しづらい。一方的に話す。


 注意欠陥/多動性障害(ADHD:attention-deficit/hyperactivity disorder)

 「行動面の障害」
  1)注意集中が難しい、
  2)多動・落ち着きがない、
  3)衝動的
  上記の3つが同時にある場合に診断される。不注意優勢型、多動・衝動性優位型、混合型などに分けられる。

  状態例:
  ・ケアレスミスをする。見直しができない。
  ・指示に従って最後までやり遂げることが難しい。
  ・忘れ物が多い。
  ・授業中でも席を立って歩きまわったり、教室を出て行ってしまう。
  ・言いたいことがあると、我慢できずにしゃべりすぎる。
   (アスペルガー症候群とは異なり、それが場にそぐわないということは理解できる。)



 LD(学習障害)
  「学習面の障害」
  ・知的には標準またはそれ以上
  ・学力の著しい偏り(聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの能力に著しいアンバランスがある)

  状態例:
  ・聞いたことは理解できるが、同じことを読んで理解することが難しい。
  ・口頭でなら正しく答えられるのに、書いて答えることが難しい。
  ・個別に言われれば理解できるが、集団の中では理解が難しい。



  精神遅滞(知的発達障害)

  ・年齢相応の知的能力がなく、社会的自立の上で支援が必要とされる。
  ・ダウン症など染色体異常によるものもあるが、原因が特定できないものも多い。
  ・学習障害(LD)は含まれない。


   発達障害診断の際によく使われる検査としてWISC-VとK-ABCがあります 

  WISC-V
  この検査の特徴は、他の子どもたちとの比較(個人差)ではなく、
  その子供の中での認知能力の差(個人内差)を見ることができる点です。
  5種類の言語性の基本検査(知識・類似・算数・単語・理解)と5種類の動作性の
  基本検査(絵画完成・符号・絵画配列・積木模様・組合せ)、
  及び1種類の言語性の補助検査(数唱)と2種類の動作性の補助検査(記号探し・迷路)の
  合計13種類の下位検査で構成されています。

   全検査知能指数(FIQ)および言語性の知能指数(VIQ)、動作性の知能指数(PIQ)を得ることができ、
   眼の機能が関係するのは動作性の知能指数(PIQ)の方です。
   VIQ>PIQの時、トレーニングの効果が高く出ると考えられます。


  K-ABC
  この検査の特徴は、継次処理と同時処理のどちらが優れているかを判断することが出来る点です。
  継次処理とは脳に入ってきた情報を一つ一つ時間的に統合していく処理であり、
  同時処理は一度に入ってきた情報を統合するという処理のことです。

  継次処理、同時処理どちらが優位かにより、子どもの指導方法を工夫する必要があります。


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